ハンドボールのキーパーに求められるパス力
ハンドボールはキーパーの目なしに語ることはできないといっても過言ではありません。
特にその目が見て、それによって下された判断を形にするパスについてまとめていきます。
1.パスというメッセージ
ハンドボールは漢字で「送球」と書かれることは皆さんご存知かと思います。
あるチームではすべてのパスに意味を持たせるように、意味のあるパスをするようにと指導するようです。
確かにセンターのプレーヤーが両フローターに出すパスにもその球速、軌道、着弾点などで意味を付与しています。
センターがポストに、あるいは逆のときにもそうです。
私はセンターとポストを経験していたため特に意識するようにもしていました。
ではキーパーはパスを通して何ができるでしょうか。
わかりやすいものが一次速攻の場面です。
一枚目のディフェンスが相手のシュートをきっかけにしてダッシュしていったところに的確に投げる。
ただ的確に遠投するのみではなくコートのアウトサイドに、あるいは今走っているのと逆のサイドに、もっと手前に、フロートパスなのかストレートなのかなどなど、キーパーはたかだかサイドへのロングパスにもいくつもの意味を与えることができます。
あるいは自チームのオフェンスがオールコートプレスを受けているとき。
この状況ではオフェンスの6人はひたすらに走り続けないと互いにパスも出せませんが、こんな状況は戦術や意味を持たせたパスを出すには不都合です。
そこでキーパーを交えた7人攻撃に出ることは自然な流れでしょう。
一人分の余剰を生かしてこじ開けたスポット、キーパーにしか見えなかったディフェンスのスキ、こういった場所にパスが出せるのはキーパーのみです。
キーパーは他のどのポジションよりも大きな意味パスに持たせることができるわけですね。
2.パス力
どんな意味を仲間に伝えるにしてもうまくパスができなければそれは伝わりません。
コート上にマーカーコーンを置き、そこにストラックアウトさながらにして遠投するというのもいいでしょうし、とにかく日ごろから積極的に遠投の練習をしないことには上達はしないでしょう。
もちろん様々なコース、球種で投げれるようにしてください。
もちろん、オールコートカバーしなければいけませんから、40mを余裕で投げられるだけの肩を作っておくことも忘れてはいけません。
3.目を養う
とにかく多くのプレーに触れてください。
多くの練習をし、試合に出て、プロからアマまで様々な試合を観てください。
特に観るというのがハンドボールにおいて一番上達に近づきやすいのではないかと思います。
どんなときにどんなプレーをすべきか、それを伝えるにはどんなパスをすべきかというのは、はっきり言ってセンスです。
センスは経験で磨き上げられるものですから、とにかく場数を踏んで経験を蓄える。
もちろんチームメイトと一緒にです。
全員で認識を合わせることでパスがさらに生きてきます。
キーパーは守護神であり唯一の俯瞰者でありますから、率先して経験値を高めていきましょう。